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市民科学研究所が発行する雑誌『市民の科学』2011年第3号に、「シェアハウスにどんな可能性があるのか?」と題した対談が掲載されました。お相手の宮町優子さんは、名古屋でシングルマザーの市民活動を続けてこられた方です。「シングルマザーはシェアを活用できるのか/難しいとすればなぜか」というのは、久保田にとっても非常に大きなテーマで、2時間ほどだったかと思いますが、楽しく議論させて頂きました。

もともと、久保田が若者のシェアをテーマに研究を進めてきたのは、日本でも子育ての共同や介護の共同の試みは少なくないのに、なぜ働ける若い時期には一人で住むか家族と住むかしか選択肢がないのか、といった疑問からでした。なので、比較的自立した成人同士の対等なシェアを理論化しつつ、その中に、一端脇に置いた「依存?ケア関係」をどう組み込んで従来の家族論を再構築できるかは、残された大きな課題です。その意味でも、非常に刺激的で参考になりました。

改めまして、お忙しい中、大阪までご足労いただいたインタビュアーの宮町さま、司会の中村共一さま、どうもありがとうございました。また、本書には、「つながりを創る―共生的自立・自律への探求」というテーマで、共同作業所やまちづくりに関する論考も収められておりますので、関心のある方は是非お手に取ってみてください。



当初は東北大学にて開催が予定されていた福祉社会学会の第9回大会ですが、震災その他の影響を受けて首都大学東京に会場を変更し、日程はそのままで開催されます。

首都大ということで、やや不便な南大沢のキャンパスになりますが、ご関心のある方はどうぞふるってご参加ください。久保田は昨年度に引き続き、一日目の午後の「福祉原理」部会にて、家族福祉と社会的承認論についての理論的な報告を行う予定です。


福祉社会学会HP
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jwsa/

大会プログラム
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jwsa/program2011.pdf


どうぞよろしくお願いいたしますー。

社会政策学会の学会誌『社会政策』に、家族福祉論の批判的検討を行った投稿論文が掲載されましたのでご案内させていただきます。投稿したのが昨年1月末でしたので、都合掲載まで16ヶ月かかった計算になります。査読者のお二人を初め、編集委員の先生方にも、大変お世話になりました。この場を借りてお礼を申し述べさせていただきます。

それでも、実物を手に取ってみると、ああここはこう説明すれば良かったとか、ああこの言い方は誤解を生むかも知れないとか、こういうのキリがないものですね。また、論文を書き上げたあとに、読んでおくべき論文や著書を発見することもあり、まだまだ不十分な点の多い議論だとは思いますが、今後の課題とさせていただきたく思います。


<題目>

家族福祉論の解体――家族/個人の政策単位論争を超えて

久保田裕之
大阪大学大学院人間科学研究科 助教


<目次>
1.はじめに:多様な家族をめぐる家族福祉論の困難
2.家族か個人か:「政策単位の個人化」を超えて
3.ニーズ論と家族福祉
4.家族的ニーズの分節化へ:<依存批判>を手がかりに
5.おわりに:家族福祉の解体と再編

<PDF>
久保田裕之,2011,「家族福祉論の解体――家族/個人の政策単位論争を超えて」『社会政策』3(1):113-123.

ミネルヴァ書房さんとの契約で、2年間は転載不可と聞いています。
ウェブへのアップについては未確認ですが、出版社さんや学会編集部に認した上で、
可能な限り早く公開したいと思います。

→2013年9月に公開しました


<関連文献>
  

世界思想社より刊行されている、井上俊・伊藤公雄編、社会学ベーシックスシリーズ(全11巻)の別巻、『社会学的思考』を頂きましたので、ご紹介させていただきます。

このシリーズは、社会学に関する国内外の重要文献280についての解題という網羅的なもので、そのせいか、執筆者は中堅から若手まで幅広いのが特徴でしょうか。ただしこの別巻だけは、マルクス、デュルケーム、ヴェーバーからバーク、ミルズ、ギデンズまで、あまりにも領域横断的でどのテーマにも収まりきらない最重要文献ばかりが収録されているためか、目に見えて執筆陣の平均年齢が高めです(笑)。

他の10巻全部と併せて紹介させて頂きます。勉強します。

  

以前、簡単に告知しましたが、女性のための総合情報サイトWANのシンポジウムで、上野千鶴子さんコーディネートの企画にパネルとして参加させていただくことになりました。無縁社会と呼ばれる現代におけるシェアハウジングの意味や、具体的な事例やノウハウなんかを交えて議論できればと思っています。

以下、情報を転載します。


シンポジウム≫

「家族の崩壊」が騒がれてから20年、今では世代を超えて「おひとりさま」が激増しています。今年は「孤族」なる言葉も登場しました。

でも、わたしたちが提案したいのは、むしろ「個族」。自立した「個」を生きつつ他者とつながることを選ぶ自由も、支えあう方法もある社会です。

「家族」でなくとも「個族」を生きられる、それを支える社会的な仕組みとは?

若い世代から熟年、高齢期まで、女も男もともに「個族」社会を生きるためのネットワークを、どのように構築し活用していくか、その可能性を探ります。

日   時 2011年22日(日) 13:30?16:30 開場13:00

場 所    京都市男女共同参画センター「ウィングス京都」 イベントホール

(京都市中京区東洞院六角下る御射山町262) http://www.wings-kyoto.jp/about-wings/access/

参加費  一般1000円  NPO法人WAN会員 無料

講演 「個族」社会を生き抜くネットワーク――つながるための技法と作法

上野千鶴子(社会学者/WAN理事)

パネルディスカッション

コーディネーター 上野千鶴子

パネラー

冨安兆子
(高齢社会をよくする北九州女性の会代表/北九州市障害福祉ボランティア協会理事)

渋谷典子
(名古屋市男女平等参画推進センタ―「つながれっとNAGOYA」センター長
 NPO法人参画プラネット代表理事/WAN理事)

久保田裕之(大阪大学助教)著書『他人と暮らす若者たち』 
 若い男女のシェアハウジングから考える、家族ではない「個族」を実践中。

博士論文の終章の一部を元に執筆した論文を、大阪大学人間科学研究科の紀要に掲載していただきました。
程なく紀要アーカイブを等を通じて公開されると思いますが、先に、久保田の執筆箇所のみPDFを上げておきます。

博士論文は昨年度の5月に提出し、9月に学位を頂いたのですが、心残りは、ケアや親密性に関する新しい議論、特に金井淑子先生の議論をもう少し取り込みたかったこと、それから、家族のアイデンティティに関わる側面を承認論を援用してもう一章を追加したかったことでしょうか。この点は今後の課題として、学会報告などで議論させて頂く機会があるかと思います。

なんとか今年度中には博論を書き直して、単著として出版したいものです。


<題目>

家族社会学における家族機能論の再定位――<親密圏>・<ケア圏>・<生活圏>の構想

久保田裕之
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構(当時)


<目次>
1.はじめに:「家族の多様化」論の隘路から
2.家族機能の二重の分化:家族にいま何が起こっているのか
3.家族研究における家族機能の形式化の試み
4.<親密圏>・<ケア圏>・<生活圏>の分析的図式化
5.おわりに:家族社会学における新たな理論枠組みの構築に向けて

<PDF>
久保田裕之,2011,「家族社会学における家族機能論の再定位」『大阪大学人間科学研究科紀要』37:77-96.

正誤表.pdf(2011.6.26Update)


   

KAFS(関西家族社会学研究会)でいつもお世話になっております、甲南大学の中里英樹先生より訳書を頂いてしまいました。どうもありがとうございます。非常に関心のある分野ですので、さっそく拝読させて頂きます。タイトルは、『親の仕事と子どものホンネ(原題 The Labour Market Ate My Babies: Work, Children and a Sustainable Future)』、著者は南オーストラリア大学のバーバラ・ポールコックさんで、この本は市川礼奈さんという経済学者さんとお二人で訳されているようです。

個人的には、「第2章 世帯と仕事と社会的再生産の分析枠組み」を興味深く拝読しました。中里先生は今年の秋からまたオーストラリアに在外研究に出られると聞いていますので、その間に是非一度、遊びに行きたく思っておりますし、この本で描かれているようなオーストラリアの実情も見られたらなお素晴らしいのですが。

重ねて御恵投感謝いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

関西では何かとお世話になっています、甲南大学の阿部真大くんから、法政大学の筒井美紀先生らと訳された、K・フィッツジェラルド著『キャリア・ラダーとは何か――アメリカにおける地域と企業の戦略転換』(2008年、勁草書房)を頂きました。

ごめんなさい、「え、買うよ。いくら?」と財布を出したふりをしましたが、中には800円しか入っていませんでした。御恵投感謝いたします。どうもありがとう。大事に読ませて頂きます。

阿部くんとはよく議論させてもらっていますが、「キャリアラダー」という考え方は、今の日本の職業訓練・就業支援を考えるうえでは非常に重要になってくると思います。結構売れてるみたいですね。

阿部くんの他の本と併せて、以下に紹介させて頂きます。


  

『月刊プロパティマネジメント』という不動産投資・マネージメントに関する業界誌があるのですが、その4月号の特集記事「流行か、新スタンダードか―方法論としての"コミュニティ"賃貸住宅」に、久保田のインタビュー記事が掲載されました。おいそれとコンビニで売っているような雑誌ではありませんが、記録のためにご報告させて頂きます。

インタビューは、「もはや一人暮らしは『高すぎる』―入居者が自らの暮らし方を決定する生活とは」(p18-19)と題して、特集の冒頭で日本におけるシェアの源流や、近年着目されている原因なんかを話しています。この雑誌自体、シェアを初めとするコミュニティ型の住宅経営が、投資の対象として息の長いトレンドになるのか、単なる一過性のものではないのか、という投資家目線で書かれておりますので、取材を受けながらいろいろ勉強になることも多かったです。ひつじ不動産の北川さんのインタビューも掲載されていますし、シェアスタイルなど有名どころが取り上げられています。以下、目次を転載します。

http://www.sogo-unicom.co.jp/property/mag/201104.html

月刊プロパティマネジメント 2011年4月号定価 3,050円(税込み)

<特集>
話題のワケは、その事業価値はなにか
流行か、新スタンダードか
方法論としての"コミュニティ"賃貸住宅


シェアハウスやコレクティブハウスといった"コミュニティ型"の賃貸住宅が話題だ。
これらは「単身化社会への不安」、「若者同士のつながり欲求」など、文化・社会的な風潮で語られることが多い。となれば、かつて流行したデザイナーズマンションと同じ運命をたどるのか。
はたして"コミュニティ型"賃貸住宅の事業性はいかほどだろう。今後もこの動きは継続するのだろうか。
事業企画と運営の方法論、シェアハウスを探ってみた。



【OVERVIEW】
オルタナティブな暮らし方を求める
 ニーズに応えるニュービジネス
 PM編集部

【INTERVIEW】
もはや一人暮らしは「高すぎる」
 入居者が自らの暮らし方を決定する生活とは
 久保田裕之[大阪大学大学院]

確実な需要のもと、
 運営事業者の高度な成熟が求められる
 北川大祐[ひつじインキュベーション・スクエア]

【VIEWPOINT】
競争が激化する賃貸住宅
 企画には居住者との"価値観・時間の共有"が必須
 大島芳彦[ブルースタジオ]

賃貸住宅の新カテゴリを確立するためには
 シェアハウスブームに潜むリスクとチャンス
 岩佐修[シェアスタイル]

【CASESTUDY】
一棟再生・新築・コンバージョン物件の出現
 多様化するシェア住居とその運営戦略
 オークハウス/シェアスタイル
 Rバンク/グローバルエージェンツ/ボーダレス・ジャパン

【ANOTHERVIEW】
入居率95%超の成果を上げた
 一括前払い方式のシニアコミュニティ
 ゆいまーる伊川谷

入居者が自らの住環境を作り上げる
 多世代型賃貸「コレクティブハウス」の可能性
 スガモフラット/コレクティブハウス大泉学園

また、こちらは久保田が取材を受けたわけではありませんが、同じく総合ユニコムさんから出版されているレジャー産業に関する業界誌『月刊レジャー産業資料』2011年2月号でも、ややことなる角度からシェアが特集されていることを教えて頂きました。こちらは、第1部:シニア編、第2部:シェアハウス編ということで、若者よりもむしろ高齢者の不安と新しい繋がりに力点が置かれています。やはりひつじ不動産の北川さんが、シェア住居のマーケット環境についての基礎知識を綺麗にまとめてくださっています。新しい試みとして、シングルマザーと高齢者の共同シェア「ハーモニーレジデンス」なんかもも興味深いですね。

こちらも、目次のみ転載しておきます。

http://www.sogo-unicom.co.jp/leisure/mag/201102.html

月刊レジャー産業資料 2011年02月号

本体価格5,200円

[特集]
単身"不安"社会を変える!?

「住まい方」新局面
――孤独化・高齢化がもたらす新たなコミュニティの胎動


単身世帯の急速な増加により、日常生活を覆う孤独感、不安感を癒す新たなコミュニティへの渇望、あるいは高齢化による社会的支援の必要性など、新たなニーズに対応した住まい方に向けた事業化が進みつつある。
本特集では高齢者賃貸事業とシェアハウスを取り上げ、社会生態としての新しい「住まい」の潮流と事業可能性を徹底研究した

高齢化・孤立化社会を打破する。新たな住まい方とコミュニティづくり
 ――オルタナティブな暮らしへの挑戦

第1部 シニア向け住宅編
[ケーススタディ]

龍ヶ崎シニア村
 仲間とともに創る「終の住処」を目指すコーポラティブシニアマンション

ゆいまーる那須
 家賃一括前払い方式の参加型シニアコミュニティ

ココファン
 資産ミドルの後期高齢者をターゲットに、
 安心安全とプライバシーの両立した住宅を提供

第2部 シェアハウス編
シェアハウス人気の潜在要因は、若者が求める"ゆるい"つながり

シェア住居のマーケット環境と基礎知識
 ――立地・設備から企画力&オペレーション力が問われる時代へ
 ?ひつじインキュベーション・スクエア 代表取締役 北川大祐

[ケーススタディ]
リビタ(シェアプレイス)
 ハードと管理・運営の有機的な融合で、
 入居者の"使いやすさ"を実現する

グローバルエージェンツ(ソーシャルアパートメント)
 スケールメリットを活用し、豊かな生活をスマートに提供する

エントランス・ジャパン
 昨秋大阪に2物件をオープン。関西マーケットの開拓に挑む

ハーモニーレジデンス/ナウい(ハーモニーIGH)
 シングルマザー世帯と単身高齢者が同居し、
 相互に生活を補完し合う世代横断型シェアハウス

春になって所属が変わりました

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春から所属が変わり、大学院の5年間を過ごした大阪大学に戻ることになりました(任期付ですが)。前の職場のメールアドレスは、程なく使えなくなりますのでご注意ください。また、社会学で阪大の大学院への進学を考えている方で、研究室の様子を聞きたいという方は、直接目当ての先生に連絡をとってみてもかまいませんし、久保田までご相談いただいてもかまいません。

大阪大学人間科学部/人間科学研究科
http://www.hus.osaka-u.ac.jp/


さて、D3で大学院を出たあと一年間お世話になった(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構は、震災をひとつの契機としてできた兵庫県のシンクタンクなのですが、地方行政との関わりを知るという意味でも非常に良い経験をさせて頂きました。学問の世界に閉じこもるのではなくて社会を実際に変えようと奮闘する研究者の姿も見ましたし、逆に、行政から重宝されすぎて様々な審議会に名を連ねてきてもう何十年も研究してない方の姿も見ました。また、自分の好きなことを研究するだけではなく、いわばクライアントの注文に合った研究(結果ではない)を提供するという仕事の難しさの、片鱗を見た気もします。

(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構
http://www.hemri21.jp/kenkyusyo/index.html


改めて思うのは、職場のやりがいって直属の上司と、身の回りの同僚2、3人との関係がうまくいくかで9割が決まるんだなと。その意味でも、同世代の関心の異なる研究者数人と仕事ができたのは、とても良い経験になりました。小さな私大に就職したりすると、近隣分野で同じ世代の研究者はほとんどいないせいで、孤独に苛まれるのが普通で、まして土地勘もなく交通の便の悪い地方大学では発狂しかけるとも聞いていますし。


そんなわけで今年度は、大阪大学でも教えますが、神戸大学、関西学院大学、神戸山手大学、大阪教育大学でも、家族・ジェンダー関連の授業を担当させて頂くことになります。関係者のみなさま、お仕事を頂いてどうもありがとうございます。学生・院生のみなさま、どうぞよろしくお願い致します。

では。

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