2011年1月アーカイブ

翻訳などでお世話になっています、岩波書店さんから参考書として頂いた本を、せっかくなのでご紹介させていただきます。

一冊目は、アレント研究で有名な川崎修さんの論集で、『「政治的なるもの」の行方』です。久保田もアレントは好きなので、川崎先生にはいろいろと勉強させていただきました。この本も、まだ途中ですが面白いです。随分昔の論考まで収録されているようです。

二冊目は、金杭さんという若手韓国人研究者による日本研究です。『帝国日本の閾――生と死のはざまに見る』というタイトル。著者のプロフィールをみると、シュミットやアガンベンだけでなく、廣松渉まで韓国語に翻訳している様子。恐るべし。

どちらも面白そうです。勉強させていただきます。

なんか面白そうなイベント発見。
ゲストは『ゼロからはじめる都市型狩猟採集生活』の坂口恭平さんらしい。


   


うー。参加したい。
この日、広島出張なんだけど、飛行機に飛び乗れば間に合うかな・・・

阿佐ヶ谷ロフトとか超なつかしい。
駅前の屋台でラーメン作ってた元フランス料理シェフのお兄さん、元気かなー。

以下、案内を貼り付け。

http://d.hatena.ne.jp/inside-rivers/20110114/1295021669

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未来回路presents

ソーシャルネットワーク時代のシェアハウス?基礎から始める共同生活?」

twitterustreamfacebook。私たちを取り巻くメディア環境は変化し続けています。経済の低迷とは逆に、多様な需要や供給を持つ人たちとの情報共有やコミュニケーションが容易になった今、別の豊かさを追求しやすい状態になってきたのではないでしょうか。 

そして、そのようなコミュニケーションツールの変化は、インターネットの中だけでなくリアルにも影響を与え始めています。

リアルな生活を構築する重要なファクターである「衣・食・住」。その中でも、「住」のことを考えることは意外と少ないのではないかと思います。日本における住宅観は画一的な印象を受けるのはそこにも理由があるのではないでしょうか。

けれども、最近、この「住」に関する面白い試みが増えているのです!

そこで、「住」に対する固定観念などを問い直し、そこから無理がなくしかも生産的な「住」について考えていきたいと思います!!

新しい「住」を巡る言葉の創造に向けて放たれる2011年型のイベント、ついに登場です!!!


第一部 実践編

・様々なシェアハウスの住人からのプレゼン

・日常における利点や問題点

シェアハウスの作り方

etc...

第二部 理論編

シェアハウスが流行る社会的背景

・海外のシェアハウス事情

ソーシャルメディアシェアハウス

シェアハウスが促すもの

etc...

【出演予定】

渋家(恵比寿

ギークハウス(日本橋

まれびとハウス(田端

かもめハウス(湘南

沈没ハウス東中野

【ゲスト】

坂口恭平(『0円ハウス』、『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』)

他、出演交渉中!!!

【日時】

2011年2月17日(木曜)

OPEN18:30 / START19:00

【場所】

阿佐ヶ谷ロフトA(http://www.loft-prj.co.jp/lofta/

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元旦の記事に引き続き、8日付けの神戸新聞に甲南大学講師の阿部真大くんとの対談が掲載されました。前回に引き続き、特集「バブル後世代の幸福論」の最終回という位置づけで、今回は写真も掲載されています。

http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/shakai/201101buble/07.shtml


最近思うのは、(1)バブル世代と、(2)バブルを見て知っている世代と、(3)バブルを知らない世代に分けると、、当然ながら準拠集団や剥奪感が全く違うということ。さらには、ロスジェネと一括される(2)の世代の中でも、(2A)特にバブルへの羨望とルサンチマンが強いせいで、頑張って抵抗とかロハスとか別の物語に依らないと誘惑を振り切れない「前期ロスジェネ」と、(2B)比較的ドライに現実を受け入れて、変化に適応しながら実現可能な選択肢を新たに模索している「後期ロスジェネ」の間の溝は結構深いと思う。やや乱暴な例えだけど、「前期ロスジェネ」は非正規雇用の正規雇用化を、「後期ロスジェネ」は正規雇用の非正規化を訴えるような、そんな質的な違いを感じます。調べてみたら、この分断は結構議論されてるんですね。

AERA '07.10.29など
参考
http://d.hatena.ne.jp/rondo-rondo/20071028


ただ逆に、(2B)「後期ロスジェネ」から見ると、全くバブルを知らないがゆえに、頑張って割り切ったり何かを諦めたりという契機をそもそも持たない世代(3)には、感覚的について行けないところがあって、「ああ、なんだかんだ言っても僕らの準拠集団はバブル世代なんだなあ」としみじみ思う今日この頃。

秋の日本社会学会でお会いした古市くんの新書『希望難民ご一行様』なんか読んでみると、その辺の違いがよく分かります。浦さんの本なんかも、逆の意味でそうかな。


神戸新聞の紺野さんと岡西さんには、貴重な機会を頂き感謝しています。
いろいろ勉強になりましたし、考えるきっかけになりました。
重ねて、どうもありがとうございました。

元旦の神戸新聞の31頁社会面「つながる場所 バブル後世代の幸福論(1)シェアハウス」という特集記事の中で、シェア研究者としてコメントさせていただきました。「雇用も不安定で、経済的に苦しいんだから、一人暮らしなんてばかばかしくてできるか!」というようなことを、新聞向きにもっと柔らかく言っています。

http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/shakai/201101buble/01.shtml


また、記事の中で紹介されている、兵庫県垂水のシェアハウス「和楽居」のみなさんのHPを見つけましたので、ご案内しておきます。9人でお住まいのようです。いいなあ、久保田は今は4人で住んでいるのですが、もう少し大勢で住むのも楽しそうだなと思う今日このごろ。

神戸のシェアハウス「和楽居」と人間接着剤■いのじ
http://kobe.areablog.jp/page.asp?idx=1000026360


面白かったのは、靴で溢れかえった玄関の写真が掲載されていて、そうそう、シェアハウスの玄関って荒れるんですよね、と思ったこと。

なんでだろう、と考えてみると、家族4人の生活の場合、二人は子どもでしょうし、子どもは足小さいし、そんなに何足も持ってる訳じゃないんですよね。でも、大人が集まるシェアの場合は、革靴、スニーカー、運動靴は当然で、女性がいればもっと靴の数が増えるし、ブーツは3足分くらい場所をとるし。ましてや、大人が9人も居たら、玄関の小さな靴箱ではとても収まらないのは当然でしょう。新書にも書きましたが、以前インタビューさせてもらった女性4人のシェアでは、置き場所に困った靴が、階段に一段一段、片方ずつ置かれていました。

ちなみにウチでは、玄関に高さ180センチのエレクターを貰ってきて、棚で4分割して一人60cmx30cmx45cm(W/D/H)くらいの体積を一人分として使っていますが、ただ、靴は集まると結構臭うもので、本当は扉が閉まる棚が欲しいんですよね。特に鼻の高さまで靴箱だったりすると、なおさら。とりあえず今は、消臭剤をおいているので特に問題は無いんですが。

あけましておめでとうございます。大晦日は、大阪に帰省してきた人たちと、帰省せずに大阪に残った人たちと、お正月を利用して大阪に遊びにきた人たちで、うちで鍋をしました。広いスペースを利用して、友人を大勢招けるのもシェアの醍醐味のひとつですよね。年末年始はシェアメイトがみんな帰省してしまったので、気兼ねなく遅くまで騒いでいました。

シェアに限らず、結婚している人は実感あると思うんですけど、人と住んでて、たまたま一人になったときに感じる開放感は、決して一人暮らしでは味わえない不思議な感覚です。その意味では、一人での生活には一人の喜びさえないのかもしれません。この点、アーレントは、『人間の条件』の中で、「孤独」と「独居」を区別しています(邦訳p107)。

さて、そんな流れで、2010年11月9日に放送されたNHKクローズアップ現代「住まいを"シェア"してみませんか」をみんなで観ました。

NHKのサイト
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2961

若者向けのシェア、シングルマザーとシニアのシェア、家族が集まるコレクティブハウジング、といった構成になっていて、最後のコレクティブは、コレクティブハウジング社さんが聖蹟桜ヶ丘でやってるやつかなと思ったら、やっぱりそうでした。

コレクティブハウス聖蹟
http://www.chc.or.jp/chcproject/seiseki/about.html

あとは、解説に出てきた研究者の方を存じ上げなかったので、調べてみたらやはり建築関係の方だった。シェアのことをいろいろ調べていると、建築畑の方とお話しすることが多いですが、みなさん多才で、エネルギッシュで、しゅっとしてて、かっこいいですよね。是非一度、お話をお伺いする機会があればと思いました。

坂倉杏介さんHP
http://kyosuke.inter-c.org/cahiers/

見終わった感想というか、コメントなんですけど、なんだろう。いや、すごくわかりやすい構成でした。やはり、文章で読むよりも、実際に料理している様子や、コモン・スペースで子どもが暴れ回っている様子は、映像で見た方がずっとわかりやすいし。坂倉さんがコメントしてたみたいに、自分一人で(実際には家族と)所有することが喜びだった時代の感覚は、一方では万人に共通の感覚ではなくなってきているし、他方では万人に手の届かないものになっている。逆に、他人と共有することに「喜び」や「安心」があることが見直されている、というのは確かにその通りだと思う。是非こういう特集をもっとやってもらって、シェアの考え方を普及してもらえればいいなと思いました。

感想や分析は追ってまた。

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