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『月刊プロパティマネジメント』という不動産投資・マネージメントに関する業界誌があるのですが、その4月号の特集記事「流行か、新スタンダードか―方法論としての"コミュニティ"賃貸住宅」に、久保田のインタビュー記事が掲載されました。おいそれとコンビニで売っているような雑誌ではありませんが、記録のためにご報告させて頂きます。

インタビューは、「もはや一人暮らしは『高すぎる』―入居者が自らの暮らし方を決定する生活とは」(p18-19)と題して、特集の冒頭で日本におけるシェアの源流や、近年着目されている原因なんかを話しています。この雑誌自体、シェアを初めとするコミュニティ型の住宅経営が、投資の対象として息の長いトレンドになるのか、単なる一過性のものではないのか、という投資家目線で書かれておりますので、取材を受けながらいろいろ勉強になることも多かったです。ひつじ不動産の北川さんのインタビューも掲載されていますし、シェアスタイルなど有名どころが取り上げられています。以下、目次を転載します。

http://www.sogo-unicom.co.jp/property/mag/201104.html

月刊プロパティマネジメント 2011年4月号定価 3,050円(税込み)

<特集>
話題のワケは、その事業価値はなにか
流行か、新スタンダードか
方法論としての"コミュニティ"賃貸住宅


シェアハウスやコレクティブハウスといった"コミュニティ型"の賃貸住宅が話題だ。
これらは「単身化社会への不安」、「若者同士のつながり欲求」など、文化・社会的な風潮で語られることが多い。となれば、かつて流行したデザイナーズマンションと同じ運命をたどるのか。
はたして"コミュニティ型"賃貸住宅の事業性はいかほどだろう。今後もこの動きは継続するのだろうか。
事業企画と運営の方法論、シェアハウスを探ってみた。



【OVERVIEW】
オルタナティブな暮らし方を求める
 ニーズに応えるニュービジネス
 PM編集部

【INTERVIEW】
もはや一人暮らしは「高すぎる」
 入居者が自らの暮らし方を決定する生活とは
 久保田裕之[大阪大学大学院]

確実な需要のもと、
 運営事業者の高度な成熟が求められる
 北川大祐[ひつじインキュベーション・スクエア]

【VIEWPOINT】
競争が激化する賃貸住宅
 企画には居住者との"価値観・時間の共有"が必須
 大島芳彦[ブルースタジオ]

賃貸住宅の新カテゴリを確立するためには
 シェアハウスブームに潜むリスクとチャンス
 岩佐修[シェアスタイル]

【CASESTUDY】
一棟再生・新築・コンバージョン物件の出現
 多様化するシェア住居とその運営戦略
 オークハウス/シェアスタイル
 Rバンク/グローバルエージェンツ/ボーダレス・ジャパン

【ANOTHERVIEW】
入居率95%超の成果を上げた
 一括前払い方式のシニアコミュニティ
 ゆいまーる伊川谷

入居者が自らの住環境を作り上げる
 多世代型賃貸「コレクティブハウス」の可能性
 スガモフラット/コレクティブハウス大泉学園

また、こちらは久保田が取材を受けたわけではありませんが、同じく総合ユニコムさんから出版されているレジャー産業に関する業界誌『月刊レジャー産業資料』2011年2月号でも、ややことなる角度からシェアが特集されていることを教えて頂きました。こちらは、第1部:シニア編、第2部:シェアハウス編ということで、若者よりもむしろ高齢者の不安と新しい繋がりに力点が置かれています。やはりひつじ不動産の北川さんが、シェア住居のマーケット環境についての基礎知識を綺麗にまとめてくださっています。新しい試みとして、シングルマザーと高齢者の共同シェア「ハーモニーレジデンス」なんかもも興味深いですね。

こちらも、目次のみ転載しておきます。

http://www.sogo-unicom.co.jp/leisure/mag/201102.html

月刊レジャー産業資料 2011年02月号

本体価格5,200円

[特集]
単身"不安"社会を変える!?

「住まい方」新局面
――孤独化・高齢化がもたらす新たなコミュニティの胎動


単身世帯の急速な増加により、日常生活を覆う孤独感、不安感を癒す新たなコミュニティへの渇望、あるいは高齢化による社会的支援の必要性など、新たなニーズに対応した住まい方に向けた事業化が進みつつある。
本特集では高齢者賃貸事業とシェアハウスを取り上げ、社会生態としての新しい「住まい」の潮流と事業可能性を徹底研究した

高齢化・孤立化社会を打破する。新たな住まい方とコミュニティづくり
 ――オルタナティブな暮らしへの挑戦

第1部 シニア向け住宅編
[ケーススタディ]

龍ヶ崎シニア村
 仲間とともに創る「終の住処」を目指すコーポラティブシニアマンション

ゆいまーる那須
 家賃一括前払い方式の参加型シニアコミュニティ

ココファン
 資産ミドルの後期高齢者をターゲットに、
 安心安全とプライバシーの両立した住宅を提供

第2部 シェアハウス編
シェアハウス人気の潜在要因は、若者が求める"ゆるい"つながり

シェア住居のマーケット環境と基礎知識
 ――立地・設備から企画力&オペレーション力が問われる時代へ
 ?ひつじインキュベーション・スクエア 代表取締役 北川大祐

[ケーススタディ]
リビタ(シェアプレイス)
 ハードと管理・運営の有機的な融合で、
 入居者の"使いやすさ"を実現する

グローバルエージェンツ(ソーシャルアパートメント)
 スケールメリットを活用し、豊かな生活をスマートに提供する

エントランス・ジャパン
 昨秋大阪に2物件をオープン。関西マーケットの開拓に挑む

ハーモニーレジデンス/ナウい(ハーモニーIGH)
 シングルマザー世帯と単身高齢者が同居し、
 相互に生活を補完し合う世代横断型シェアハウス

元旦の記事に引き続き、8日付けの神戸新聞に甲南大学講師の阿部真大くんとの対談が掲載されました。前回に引き続き、特集「バブル後世代の幸福論」の最終回という位置づけで、今回は写真も掲載されています。

http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/shakai/201101buble/07.shtml


最近思うのは、(1)バブル世代と、(2)バブルを見て知っている世代と、(3)バブルを知らない世代に分けると、、当然ながら準拠集団や剥奪感が全く違うということ。さらには、ロスジェネと一括される(2)の世代の中でも、(2A)特にバブルへの羨望とルサンチマンが強いせいで、頑張って抵抗とかロハスとか別の物語に依らないと誘惑を振り切れない「前期ロスジェネ」と、(2B)比較的ドライに現実を受け入れて、変化に適応しながら実現可能な選択肢を新たに模索している「後期ロスジェネ」の間の溝は結構深いと思う。やや乱暴な例えだけど、「前期ロスジェネ」は非正規雇用の正規雇用化を、「後期ロスジェネ」は正規雇用の非正規化を訴えるような、そんな質的な違いを感じます。調べてみたら、この分断は結構議論されてるんですね。

AERA '07.10.29など
参考
http://d.hatena.ne.jp/rondo-rondo/20071028


ただ逆に、(2B)「後期ロスジェネ」から見ると、全くバブルを知らないがゆえに、頑張って割り切ったり何かを諦めたりという契機をそもそも持たない世代(3)には、感覚的について行けないところがあって、「ああ、なんだかんだ言っても僕らの準拠集団はバブル世代なんだなあ」としみじみ思う今日この頃。

秋の日本社会学会でお会いした古市くんの新書『希望難民ご一行様』なんか読んでみると、その辺の違いがよく分かります。浦さんの本なんかも、逆の意味でそうかな。


神戸新聞の紺野さんと岡西さんには、貴重な機会を頂き感謝しています。
いろいろ勉強になりましたし、考えるきっかけになりました。
重ねて、どうもありがとうございました。

元旦の神戸新聞の31頁社会面「つながる場所 バブル後世代の幸福論(1)シェアハウス」という特集記事の中で、シェア研究者としてコメントさせていただきました。「雇用も不安定で、経済的に苦しいんだから、一人暮らしなんてばかばかしくてできるか!」というようなことを、新聞向きにもっと柔らかく言っています。

http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/shakai/201101buble/01.shtml


また、記事の中で紹介されている、兵庫県垂水のシェアハウス「和楽居」のみなさんのHPを見つけましたので、ご案内しておきます。9人でお住まいのようです。いいなあ、久保田は今は4人で住んでいるのですが、もう少し大勢で住むのも楽しそうだなと思う今日このごろ。

神戸のシェアハウス「和楽居」と人間接着剤■いのじ
http://kobe.areablog.jp/page.asp?idx=1000026360


面白かったのは、靴で溢れかえった玄関の写真が掲載されていて、そうそう、シェアハウスの玄関って荒れるんですよね、と思ったこと。

なんでだろう、と考えてみると、家族4人の生活の場合、二人は子どもでしょうし、子どもは足小さいし、そんなに何足も持ってる訳じゃないんですよね。でも、大人が集まるシェアの場合は、革靴、スニーカー、運動靴は当然で、女性がいればもっと靴の数が増えるし、ブーツは3足分くらい場所をとるし。ましてや、大人が9人も居たら、玄関の小さな靴箱ではとても収まらないのは当然でしょう。新書にも書きましたが、以前インタビューさせてもらった女性4人のシェアでは、置き場所に困った靴が、階段に一段一段、片方ずつ置かれていました。

ちなみにウチでは、玄関に高さ180センチのエレクターを貰ってきて、棚で4分割して一人60cmx30cmx45cm(W/D/H)くらいの体積を一人分として使っていますが、ただ、靴は集まると結構臭うもので、本当は扉が閉まる棚が欲しいんですよね。特に鼻の高さまで靴箱だったりすると、なおさら。とりあえず今は、消臭剤をおいているので特に問題は無いんですが。

あけましておめでとうございます。大晦日は、大阪に帰省してきた人たちと、帰省せずに大阪に残った人たちと、お正月を利用して大阪に遊びにきた人たちで、うちで鍋をしました。広いスペースを利用して、友人を大勢招けるのもシェアの醍醐味のひとつですよね。年末年始はシェアメイトがみんな帰省してしまったので、気兼ねなく遅くまで騒いでいました。

シェアに限らず、結婚している人は実感あると思うんですけど、人と住んでて、たまたま一人になったときに感じる開放感は、決して一人暮らしでは味わえない不思議な感覚です。その意味では、一人での生活には一人の喜びさえないのかもしれません。この点、アーレントは、『人間の条件』の中で、「孤独」と「独居」を区別しています(邦訳p107)。

さて、そんな流れで、2010年11月9日に放送されたNHKクローズアップ現代「住まいを"シェア"してみませんか」をみんなで観ました。

NHKのサイト
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2961

若者向けのシェア、シングルマザーとシニアのシェア、家族が集まるコレクティブハウジング、といった構成になっていて、最後のコレクティブは、コレクティブハウジング社さんが聖蹟桜ヶ丘でやってるやつかなと思ったら、やっぱりそうでした。

コレクティブハウス聖蹟
http://www.chc.or.jp/chcproject/seiseki/about.html

あとは、解説に出てきた研究者の方を存じ上げなかったので、調べてみたらやはり建築関係の方だった。シェアのことをいろいろ調べていると、建築畑の方とお話しすることが多いですが、みなさん多才で、エネルギッシュで、しゅっとしてて、かっこいいですよね。是非一度、お話をお伺いする機会があればと思いました。

坂倉杏介さんHP
http://kyosuke.inter-c.org/cahiers/

見終わった感想というか、コメントなんですけど、なんだろう。いや、すごくわかりやすい構成でした。やはり、文章で読むよりも、実際に料理している様子や、コモン・スペースで子どもが暴れ回っている様子は、映像で見た方がずっとわかりやすいし。坂倉さんがコメントしてたみたいに、自分一人で(実際には家族と)所有することが喜びだった時代の感覚は、一方では万人に共通の感覚ではなくなってきているし、他方では万人に手の届かないものになっている。逆に、他人と共有することに「喜び」や「安心」があることが見直されている、というのは確かにその通りだと思う。是非こういう特集をもっとやってもらって、シェアの考え方を普及してもらえればいいなと思いました。

感想や分析は追ってまた。

ギークハウス水道橋がオープンしたようで、入居者募集中らしいので宣伝しておきます。
共用スペースや個室の写真が上がっていますが、写真の撮り方が上手いのか、中は超オシャレですね。
イイナー。僕もギークハウス・アムステルダムやりたいなー。


ギークハウスプロジェクト
http://geekhouse.tumblr.com


「ギーク」というのは、もともとコンピューターヲタクを揶揄する英語でしたが、もはや自称として使われています。
「ギークハウス」は、日本一のニートを目指すphaさんという方が、なるべく働かないで生きていくために始めた、プログラマーやインターネット好き好きっ子たちのためのシェアハウスで、現在は当初の理念を若干ゆるめながら全国に拡がっています。たとえば、入居者の説明には、以下のように書かれています。

入居者はウェブ系のエンジニアが多いですが、ギーク(エンジニア)ではなくても、インターネットやコンピュータやガジェットに興味があって、何らかの形で ネットに関わっていきたいと思っている方ならOKというくらいの緩い感じで募集しています。プログラミングやインターネット初心者だけど今から勉強したい
という方でも構いません。ギークハウスなら周りに詳しい人も多いので刺激になると思います。

見学会や説明会のようなものもやっているようなので、関心のある方はWebをチェックしてみてはいかがでしょう。募集だけではなく、「自分もギークハウスやってみたい!」という人も、是非。新しく人を募ってシェアを始めたり、自分の持ち家や空き部屋の一部を開放したりというのもアリです。現在も、ギークハウス下北沢のプロジェクトが進行中の様子。下北沢懐かしいなー。

このギークハウス水道橋は、有限会社オアゾさんという業者さんが仲介しているようで、やはり個人でやるよりも長期的な採算で物件に手を入れられるんだと思う。やはり、近年のシェアハウスの普及にはこういった業者さんの力が大きいですね。有名なヒツジ不動産さんなんかも、本を出したりしてるし。最近では、「ソーシャル・アパートメント」という言い方もするそうです。

ちなみにphaさんとは、大阪に遊びに来た時にお会いしたり、ギークハウス京都に連れて行ってもらったり、ベーシック・インカムがらみのイベントに参加してもらったりと、いろいろお世話になっています。

気さくな入居者が沢山集まるといいですね!

女性をつなぐ総合情報サイト、Women's Action Networkに、エッセイ「シェアハウジングから考える家族であることと家族でないこと」を寄稿させていただきました。新書や論文には書ききれなかった、個人的なことにも少し触れさせていただいています。

近年の家族社会学では、「家族の個人化」や「家族の多様化」という文脈で家族や居住生活の変化を語ることが多いのですが、一見リベラルに見えるこのような認識の背後には、「家族」と「良きもの」を依然として結びつけるある種の家族主義が温存されているのではないか、というのが趣旨です。

WANは、久保田もいろいろとお手伝いさせていただいている女性のためのポータルサイトで、最近リニューアルを終えてさらに読みやすくなりました。こちらも、どうぞよろしくお願いします。


WAN(Women's Action Network)

http://wan.or.jp/

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