2010年2月アーカイブ

家族社会学会等でお世話になります、木戸功先生よりご著書『概念としての家族―家族社会学のニッチと構築主義』を送っていただきました。どうもありがとうございます。計量・実証が重視される家族社会学において、理論レベル・概念レベルの再検討を踏まえた調査研究を大きく展開されている点には、大きく勇気づけられます。副題にある「家族社会学のニッチ」というやや卑屈な(笑)表現が、こうしたスタンスをとりにくい業界の世相をよく表しています。とりわけ、4章で拙稿を取り上げてご紹介いただいている箇所があり、痛み入ります。木戸先生とは、メールのやりとりのみでまだ直接お会いしたことはありませんが、議論できるのを楽しみにしております。
 
阪大の副査である辻先生から、北田暁大編『自由への問い4 コミュニケーション』を頂きました。第?部「インターネットにおける匿名性と自由」を執筆されています。構想段階からいろいろと話を聞かせていただいていたので、感慨深く拝読しました。どうもありがとうございます。この原稿の煽りを受けて、10月からの辻ゼミのテーマは「自由」で、J・S・ミルとI・バーリンを購読するとのこと。楽しみです。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
吉田修一さんの原作、行定勲さん監督の映画、『パレード』の制作会社?配給会社?の方から連絡があって、推薦文を寄稿させて頂きました。シェアハウス(ルームシェア)を舞台にした作品だったからです。おすぎさんや、椿彩菜さんに混じって、チラシやHPにコメントが載っています。

公式HPはこちら↓
http://www.parade-movie.com/

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一応、試写会の前に原作も読ませていただきました。
「本当の自分を隠して共同生活を送る4人」みたいな宣伝文句だったので、嫌な予感がしてかなり警戒して読んだのですが、小説の方はなかなかいろいろ考えさせられました。映画は、ラストシーンの一言が入って全く違う印象になっているので、小説を読んでから映画を見られたかたは解釈の幅に意見が分かれるかもしれません。



一応、ネタバレしない範囲でシェアの話に触れると、この小説/映画に出てくるのは、2LDKのマンションの2つの個室を、「男部屋」と「女部屋」に分けるという、フラットの個室をルームシェアしている形態です。女部屋で一人が眠っている横で、もう一人が音を消してテレビを見たり仕事をしたりするシーンもありましたから、大変だろうなと思います。一方、共有部分である中央のリビングでは、みんなでテレビ見たり、お客さんを泊めたりしていました。藤原竜也くんが、一番年長でシェアのリーダー的な役柄を演じていたのに、軽い世代的ショックを感じました。もう、どちらかというとお兄さんの役なんですね。

シェアに至る経緯は、藤原くんが結婚を前提に付き合っていた女性と二人で住むために買っただか借りただかしたマンションだったのが、一緒に住み始めるとなんだか気まずくなっていたところに、その女性の呑み友達である香里奈演じるキャリア女性が引っ越してきて、で、小出恵介くんも転がり込んできて、いつのまにか婚約者の女性は出て行ってしまって、貫地谷しほりさんも行くところがなくて、みたいな、もうぐちゃぐちゃした成り立ちでした(うろ覚え)。

たぶん、部屋の契約者である藤原くんが、家に帰るのも遅くてあまり家にいる時間もなく、部屋に人がいてもあんまり気にしないタイプのおおらかなひとだと、そこに転がり込んできた人も、特に誰にも部屋を独占したり排除したりする気も権限もないまま、なんとなくこんなことに成りうるかな、という印象。

暇そうにしているシェアメイトをパチンコに連れ出したり、一緒にコンビニに買い物に行ったり、シェアしていることがバレたら追い出されるのを心配したり、リアルな描写もあって、これまでの日本の映画やドラマでのシェアの描かれ方とは少し違うかなとも思います。

程なくDVDにもなると思いますので、詳しいことはまた後ほど。

女性をつなぐ総合情報サイト、Women's Action Networkに、エッセイ「シェアハウジングから考える家族であることと家族でないこと」を寄稿させていただきました。新書や論文には書ききれなかった、個人的なことにも少し触れさせていただいています。

近年の家族社会学では、「家族の個人化」や「家族の多様化」という文脈で家族や居住生活の変化を語ることが多いのですが、一見リベラルに見えるこのような認識の背後には、「家族」と「良きもの」を依然として結びつけるある種の家族主義が温存されているのではないか、というのが趣旨です。

WANは、久保田もいろいろとお手伝いさせていただいている女性のためのポータルサイトで、最近リニューアルを終えてさらに読みやすくなりました。こちらも、どうぞよろしくお願いします。


WAN(Women's Action Network)

http://wan.or.jp/

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