Kindle3が届いた。娯楽用の洋書専用機の予感(一週間目の感想)。

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科研費で購入を企てていたKindle3だが、あえなく却下。確かに、Kindleで買った電子書籍を、研究室に置いていくことが出来ない以上、当然と言えば当然だが。仕方なく、個人的に注文。円高って素晴らしい。

一週間くらい使ってみた感想。



<良いところ>

・恐ろしく読みやすい。紙に印刷されているかのよう。特に、通勤電車などで明るい日差しが照りつけていても問題なく読める。
・ワイヤレスで直接本が買える。特に、洋書のサンプルがダウンロードし放題なのは有り難い。気になる本は、まずサンプルをダウンロードして、序章を読み、面白そうなら買う、といった使い方ができそう。その意味でも、3G対応のものをオススメする。無線LANだけだと、機動的にダウンロードできないから。
・文庫本に比べるとやや大きくて重いが、手が疲れるほどではない。長時間の読書も問題ない。これは、iPadには無い利点か。
・青空文庫との連携が見事。専用のフォーマットに変換された和書は、美しすぎる。変換の仕方も、青空Kindleのページから、ブックマークレットを登録しておくと、青空文庫のそれぞれの本のページでクリックするだけで、Kindle用のフォーマットに変換してダウンロードしてくれる。これはありがたい。できれば、ファイル名を日本語の書名に変換してくれるとなお有り難いのだが。
・A4のワードファイルの大きさまでなら、pdfにすれば何とか読める。ただし、見開きのpdfや、グラフや表がはいったものはちょっと読めない。Deluxなら読めるかなー。
・電源を切ると、いろんな絵が表示されるのは楽しい。もっとバリエーションが欲しい。電源を切ってる間なら、広告を入れてもいいんじゃないかな。その分、本を安くしてくれたら。

<気になるところ>
・重さはともかく、やはり大きい。電車で座って読む分には問題ないが、立って読む場合や、乗り換えのために一度ホームに出る場合など、大きさが少し気になる。文庫本や新書のように、開いて読み、閉じて持ち歩くというメディアがどれほど素晴らしかったかを痛感。
・表示速度は読書に関しては及第点だが、単語を辞書で調べようとするとやや待たされる。これは、英語を外国語として読む人たちの辞書検索頻度には耐えない。大人ネイティブが、難しい単語をごくたまに調べる想定ならOKかもしれないけど。
・サンプルをダウンロードして読み終わり、欲しくなって購入すると、読み終わったサンプルの他に新たに本がダウンロードされてしまい、サンプルの読書情報が引き継がれない。そもそもサンプル版ではハイライトしたりメモを取ったりできない。これは、自分の本を「汚しながら読む」という文化に慣れてしまうと、なんとなく違和感がある。もうすこしサンプルを自由に汚させてくれた方が、購入意欲も高まるのでは。
・さらに、細かくメモをとったり、気になる単語やフレーズを頻繁にハイライトしながら読もうとすると、反応速度の遅さが気になってくる。これでは正直、学術書や専門書を読むのに向いていないと感じた。
・ショートカットをもっと充実させて欲しい。たとえば、Alt+Bでブックマークが入れられたり、いくつかのショートカットが取り入れられているものの、せっかく滅多に使わないキーボードを搭載している割には不親切すぎる。たとえば、Alt+Hで、カーソルのすぐ右の一単語だけをハイライトとか、Alt+Shift+アルファベットで、そのアルファベットで始まる単語に順次ジャンプするとか(カーソルキーを動かすのがたるいので)。Windowsキーのようなスーパーキーを用意してもいいんじゃないか。
・和書に対応していない。いまさらだが、洋書専用では日本での市場が小さすぎるだろう。青空Kindleの美しい和文表示を見る限り、もし対応すればすぐにでもひろまるんじゃないかという印象を持った。

・付属のマインスイーパーのレベルが簡単すぎる。こういうのは、無駄に最高難易度を上げておくべき。ただし、付属の五目並べにはまだ勝ったことがないが・・・。


<総評>
研究用に学術書や専門書が読めるかな、と思っていたが、ちょっと無理そう。しばらくは、娯楽用の小説専用機に成りそうな予感。

まず、pdfを読み込ませて持ち歩く用途に、思ったよりも向いていない。画像が荒いし、文字もずいぶん小さくなってしまうから。また、読みながらハイライトしたりノートを取ったりする作業が面倒すぎる。さすがに、何のノートも取らずに読み終わっても、結局もう一度紙媒体で読み返すことになる気がする。もっとも、パソコン版と併用しながら、一回目は電車でKindleで読み、2回目はPCでこまめにノートを取りながら読む、ということも可能か?いや、少なくとも一回目に快適にハイライトできないと、この方法でも無理があるかも。

iPhone版Kindleのところでも書いたけど、もし娯楽用途なら画面の大きさはあまり気にならないから、もっと小さくてもいい気がするな。あるいは、見開き2画面版を開発して欲しい。

ひとまず、英語を読む習慣をつけようと思い、昔いろいろ読んだJohn Grishamをいくつかダウンロードして読んでいる。あと、何かと話題の、Stieg Larssonの三部作を読み始めた。こうやって、複数の本を浮気しながら読むのには、Kindleは本当に素晴らしい。それに、一日二回、通勤時間に英語を読む習慣をつけたら、一年、二年でずいぶん違うんじゃないかな。

気になる点は多いけど、満足して使っています。ただし、かなり用途を選ぶと思うな。

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