『家族社会学研究』21(1)に投稿論文が掲載されました

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日本家族社会学会の機関誌『家族社会学研究』に、投稿論文が掲載されました。2007年に札幌学院大学で開催された家族社会学会大会での分科会報告原稿の、前半部分を元に執筆したものです。


「家族の多様化」論再考--家族概念の分節化を通じて

久保田 裕之
大阪大学大学院人間科学研究科


<要約>

「家族の多様化」論の前提となる,家族に関する選択可能性の増大という認識は,家族が依然として選択不可能な部分において個人の生存・生活を保障している点からみれば一面的である。法・制度に規定された家族規範は,現代においても,婚姻をモデルとした性的親密性・血縁者のケア・居住における生活の共同というニーズの束として複合的に定義されており,個人の主観的な家族定義もまた,この家族概念をレトリカルに参照せざるを得ない。さらに,貧弱な家族外福祉を背景として,主観的家族定義における親密性の重点化により,親密性と生存・生活の乖離が生じることが現代の「家族の危機」の一因となっている。そこで,政策単位としても分析単位としても複合的な家族概念を分節化し,従来の家族の枠組みを超えて議論していくことが重要である。家族概念を分節化することで,家族概念の単なる拡張を超えて,家族研究の対象と意義を拡大することができる。


<電子ジャーナル>

http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoffamilysociology/21/1/21_78/_article/-char/ja/


<PDF>

久保田裕之,2009,「『家族の多様化』論再考―家族概念の分節化を通じて」『家族社会学研究』21(1):78-90.


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